イレギュラー

地面のざらつきを 掌に感じながら
ぼんやり モノを考えだす。

体調が悪いと悪いコトを考えがち。

マジ気分悪いときは
しんどさに耐えることに…
そこに“存在する”ことに必死。

考えるどころじゃない。

うずくまることすらできず
アスファルトに 直に横たわる。
沈み込むように。

やがて、少し落ち着いてくる。
頭が回りはじめる。

そのとき

まだ自分のなりを気にする余裕はない。
地面のざらつきを 掌に感じながら
ぼんやり モノを考えだす。


朝の職場の仲間も
夜のバイト先の仲間も
気にかけてくれるけど…

動けなくて、何もできなくて
働かなければ…なのに…


あの頃…ひとりで生活するには
あまりにも体力が足りず
広島から鳥取に戻ることを決めた。

でも鳥取には居られなかった。
勝手に
無謀にも飛び出してきた。


今 こんなんじゃ
鳥取に帰れって言われても しかたない。
ただ帰るトコも、ない。

今はみんなやさしいけど
こんなヘタレ、そのうち
愛想尽かされちゃうんじゃないかな。

働かなきゃ、生きられない。
でも 動けない…堂々巡り。


堂々巡り…
こんだけ考えるエネルギーがあれば
身体だって起こせるかな。

あぁ…

バスに揺られているような
陸酔いのような めまいはするけど
だいぶマシになってる。


私は、イレギュラーだ。

イレギュラーだからこそ
社会の援助は期待できない。

かわりに
自分で生きる自由を手に入れた。


ゆっくり、立ち上がってみる。
ジャンバーの砂を払う。
行かなきゃね。

体調が不安定なのは
もう、どうしようもない。

それでも モノを考える力と
生きる気力と
自由がある。
味方になってくれる人もいる。

退路はない。
一歩でも 進むしかない。